五徳瑞現と出世本懐
7月4日は、「浄土三部経を読む」の日で、今回は『大経』の発起序を読み、五徳瑞現と出世本懐についてお話ししました。
五徳瑞現とは、『大経』を説く直前の釈尊の姿がいつもと違うことに驚いた阿難が述べた釈尊の五つの徳のことです。
そのことについて、新羅の憬興(きょうごう)が書いた『無量寿経連義述文賛』(略して『述文賛』)によって説明させていただきました。
今回こうやって説明することで、『述文讃』では、五徳すべてが、凡夫とはもちろん声聞・縁覚・菩薩とも異なる仏のみに見られる特色として説明されていることがよく分かりました。
世尊は仏の神通力、世雄は仏の普等三昧、世眼は仏の五眼、世英は仏の四智、天尊は仏である第一義天と説明されているのですから。
次に、出世本懐として、如来がこの世に現れる理由(わけ)は、人々に真実の利益を恵みたいからだということをお話ししました。
そして、いわゆる「ご利益(りやく)」は自分の願いであり、自分の欲望ですが、真実の利益とは、仏の願いなんだということをお話しさせていただきました。
仏の願いとは、阿弥陀仏の願いであり、阿弥陀仏の願いとは「すべてのものを救いたい」という願いです。
で、「すべてのものを救いたい」ということを私たちの側で考えるなら、そのすべてのものの中に私も入っているのですから、「すべてのものを救いたい」ということは私にとっては「あなたを救いたい」と言われているのと同じことになります。だって、この私が救われないならばすべての人を救ったことにはならないのですから。
だから、阿弥陀仏の願いとは、そして如来がこの世に現れた理由というのは、あなたを救うため、ということになります。
と、まぁ、そういうお話をさせていただきました。
帰宅すると、蓮の蕾に、トンボがとまっていました。