若い世代の人たちへ
今の若い世代の人たちは、仏教に興味を持っていない、と思われています。しかし、本当にそうなのでしょうか。
私は今、龍谷大学で新入生に仏教を教えています。私の授業を受けているのは、社会学部や理工学部の学生たちなので、仏教を学ぶために龍谷大学へ入ったのではありません。ただ必修科目なので、仕方なく仏教を学んでいる学生たちです。
その学生たちが、授業の感想として「この授業で、阿弥陀仏の願いを聞けてよかった。最初は、仏教の思想を学ぶなんて、めんどう・イヤだと思っていたけど、この授業は本当によかったと思う」とか「今までの授業で学んだことはどれも心にくるものが多く、毎回この授業が楽しみです」などと書いてくれています。
授業後の無記名式の授業アンケートでも八割以上の学生たちが授業に満足したと答えています。
仏教の教えは、学生たちの心に響くものなのです。
また、若い世代の人たちにとって、鬱になっている子やリストカットした子や引きこもりの子は身近にいます。
先日も「鬱の友達がいるんで、話を聞いてもらえますか」という相談を受けました。
会って話を聞くと、まじめな優しい子でした。まじめに考えるからこそ、生きるのが苦しくなるのでしょう。
しかし本来まじめであることは悪いことではないはずです。
若い世代の人たちが、まじめであるが故に生きにくくなる、というのはおかしいです。
社会が病んでいる証拠だと思います。
そういう病んだ社会を彼らは生きています。
私は、彼らに仏教の教えを知ってもらいたいと思っています。
彼らのほとんどは今まで仏教に触れたことがありません。そして、仏教を学んだ学生たちは、その教えに満足しています。彼らは仏教に興味がないのではなく、仏教に触れる機会がなかっただけなのです。
彼らに仏教の教えを伝えていきましょう。
そのままでいいんだよと願われていることを。
生まれてきてよかったと思えるように。
「よびごえ」第51号 秋彼岸号 (平成21年9月15日刊)