平尾さんと山中先生

今日は、宝積寺の永代経法要でした。
法要で道師を勤めた後、高座でお説教をいたしました。
今日は、平尾さんと山中先生の話をしました。
『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』という本に書かれている話です。

『友情』

平尾誠二さんは、伏見工業高校3年の時に全国大会で優勝し、同志社大学では大学選手権3連覇、神戸製鋼では日本選手権7連覇し、W杯日本代表監督も務め、「ミスター・ラグビー」と呼ばれた方です。

そして、山中伸弥先生は、iPS細胞で 2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞された京都大学の教授です。

お二人が初めて出会ったのは、雑誌の対談で、それは山中先生がノーベル賞を受賞される前、2010年9月のことでした。

残念ながら、平尾さんは、2016年10月20日に、53歳でお亡くなりになったのですが、実は、その平尾さんの闘病生活を支えていたのが、山中先生だったのでした。

このお二人のことは、『よびごえ』の最新号でも書かせていただきました。
でも、言いたいことが多すぎて、今ひとつまとまりに欠けてしまいました。
お説教なら時間も充分あるので、言いたいことをすべて言えるかなと思い、平尾さんと山中先生のお話をさせていただいたのでした。

『友情』に書かれていること、平尾誠二さんをしのぶ「感謝の集い」で山中先生が読まれた弔辞、平尾さんの奥さん惠子さんが「読書人の雑誌 本」に寄稿された原稿などを紹介させていただきました。

いろんなことをお話しさせていただきましたが、その中から一つ。

 彼(平尾さんのこと)は著書『理不尽に勝つ』(PHP研究所)のなかで、ラグビーボールが今も楕円形なのは、世の中というものが予測不可能で理不尽なものだから、その現実を受け入れ、そのなかに面白みや希望を見出し、困難な状況を克服することの大切さ、素晴らしさを教えるためではないだろうか-と述べています。
元気だった頃、こうも言っていました。
「人生はラグビーボールと同じ。楕円形のボールはどこに転がっていくかわからない。しょうがないやないか」
これまでいくつもの理不尽を乗り越えてきた彼だからこそ、言える言葉です。
癌を告知された時、彼はひとこと、こう言ったそうです。
「しゃああらへんわね」
理不尽を嘆いてもしかたない、現実として受け入れ、そのなかに希望を見出していこうと説いてきた平尾さんは、癌告知という極限の状況にあっても、その姿勢を貫きました。そして、その後の闘病生活でも、理不尽に勝つことの大切さを、身をもって証明したのでした。

(『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』181-182頁)

本当に、何が起こるか分からないこの人生です。

ラグビーボールのように、どこに転がっていくか分かりません。

でも、だからこそ、その現実を受け止め、その中で自分ができることを精一杯やっていくしかありません。

その中で初めて知らされることがあります。そしてそこで初めて成長することができます。

そして、それは、仏さまが私たちに願われている生き方でもあります。

何が起こってくるか分からないけれど、その現実をしっかり受け止めるんだよ、と。

たとえどんなことが起こってこようとも、大丈夫、あなたを支え続けているからね、と。

だから、限りある人生、あなたらしく、精一杯生きるんだよ、と。

そんな話を、させていただきました。